料理業界で18年間料理人として働いた経験をもとに結婚式のフランス料理がなぜ冷めやすいのかわかりやすく解説します。

結婚式の料理が冷めていると感じたことがある人の多くは以下のような疑問を持っています。

  • 結婚式の料理って冷めている印象がある。
  • なぜ料理が冷めているんだろう?
  • どこの式場も料理は冷めているの?
  • 結婚式の料理ってそういうものなの?

この記事では結婚式のフランス料理がなぜ冷めやすいのか具体的な例をあげて説明していくので、この記事を読んだあとはなぜ結婚式のフランス料理が冷めやすいのかわかるようになります。

これから説明することは結婚式のフランス料理以外の料理や結婚式以外の大勢が集まる宴会場などにも共通する内容です。

結婚式の料理が冷める主な原因

結婚式の料理が冷める主な原因

結婚式の料理が冷めてしまう最大の理由は、「ゲストへのおもてなし(演出)」と「料理の最高の状態」を両立させるのが非常に難しいからです。

披露宴は食事を楽しむ場所であると同時に、新郎新婦を祝う儀式の場でもあります。進行の遅れや会場の設備、大人数への配膳といった物理的な制約が重なることで、温かいはずの料理が温度を失ってしまいます。

結婚式特有の進行と料理提供のタイミング

結婚式特有の進行と料理提供のタイミング

結婚式では、料理の仕上がりよりも「プログラムの進行」が優先されるため、提供タイミングがズレて料理が冷めます。

披露宴には、スピーチや乾杯、お色直しといった分刻みのスケジュールが存在します。厨房は進行に合わせて調理を開始しますが、祝辞が予定より長引くと、完成した料理は提供を待つ間に熱を逃がしてしまいます。料理の鮮度よりも、会場全体の空気感や儀式の流れを乱さないことが重視される結果、料理の温度が犠牲になるのです。

披露宴のプログラムという「動かせない時間」に合わせて料理を作るため、わずかな進行の遅れが料理の温度に直結します。

披露宴の演出が料理の温度に与える影響

披露宴の演出が料理の温度に与える影響

披露宴の演出が多いほど、ゲストが席を外す時間や食事の手が止まる時間が増えるため、料理が冷めやすくなります。

演出には、余興、ムービー上映、キャンドルサービス、各卓写真、サプライズ演出などが含まれます。演出の最中、ゲストは拍手や視線を向けるため、料理を食べる手が止まりやすいです。ゲストが食べない時間が長いと、皿の上の料理は室温に近づきます。さらに、演出の間に料理を下げにくくなるため、次の料理を運ぶ準備も遅れます。

演出が多い披露宴は、食べる時間が分断されます。食べる時間が分断されると、料理の温度は下がりやすくなります。

大人数の結婚式で起こりやすい配膳の遅れ

大人数の結婚式で起こりやすい配膳の遅れ

結婚式のフランス料理はコース料理で提供されます。一皿目が食べ終わりに近づくと、式場のサービス担当が調理場へ連絡し、次の料理の準備が始まります。温かい料理の場合は、その合図を受けて調理場で一斉に盛り付けが行われます。完成した料理は、できあがった順に提供される流れです。

ここで、料理が冷めやすくなる要因が生まれます。披露宴会場では、各テーブルに担当のサービススタッフが配置されており、そのスタッフが料理や飲み物を運びます。料理の温度は、担当者がどれだけスムーズに運べるかに大きく左右されます。

しかし、実際の会場では思い通りに進まない場面が多くあります。テーブルごとに食事の進み具合が異なるため、次の料理を運ぶ前に、現在使われているお皿を下げる必要があります。料理はすでに提供できる状態でも、すべてのテーブルが整うまで待つ時間が発生します。

さらに、調理場からテーブルまでの距離も影響します。披露宴会場が広い場合、料理を運ぶ距離が長くなり、その分時間がかかります。この移動時間も、料理が冷める原因の一つです。特に夏の披露宴では、会場内の冷房の影響で料理が冷えやすくなります。

また、招待されるゲストの人数も関係します。人数が多いと会場は広くなり、料理の搬出口が一ヶ所であることがほとんどです。そのため、会場が広いほど配膳に時間がかかり、料理の温度が下がりやすくなります。

式場の建物の構造(調理場)の仕組み

式場の建物の構造(調理場)の仕組み

披露宴会場と調理場が離れている場合や、料理の最終的な盛り付け場所が別の階にある場合は、料理が冷めやすくなります。たとえば、披露宴会場が建物の三階にあり、調理場が一階にあるケースです。

このような式場では、料理を上の階へ運ぶために、リフトやダムウェーターと呼ばれる小荷物専用の昇降機が使われます。一階の調理場で温かい料理を仕上げたあと、上層階まで運ぶ流れになるため、ゲストの元へ届くまでに時間がかかります。その間に、料理の熱は徐々に逃げてしまいます。

料理を作る場所、盛り付ける場所、提供する場所の距離が長くなるほど、料理は冷めやすくなります。式場ごとに建物の構造は異なるため、建物の造り自体が料理の温度に影響する場合もあります。

ブライダルフェアの試食会に参加する際は、料理の味だけでなく、披露宴会場と調理場の位置関係にも目を向けておくと、当日の料理をより具体的にイメージしやすくなります。

料理によって冷めやすい料理があります

料理によって冷めやすい料理があります

温かい料理の中にも、構造上冷めやすい料理があります。原因は、料理そのものの温度や、スープやソースの性質にあります。

まず、仕上がりの時点で熱々ではない料理は冷めやすくなります。結婚式のコース料理では、メインにローストビーフが選ばれることが多くあります。ローストビーフは肉の中までしっかり火を通す料理ではなく、ミディアムレア程度に仕上げます。

そのため、完成した時点でも内部は高温ではありません。さらに、大きな肉の塊から一人分ずつカットするため、切り口から熱が逃げやすくなります。

次に、濃度のないスープやソースも冷めやすい特徴があります。たとえば、お吸い物とカレーを比べると、カレーの方が冷めにくく感じられます。これは、とろみがある分、保温力が高いためです。

保温力が弱いため冷めやすくなります。

結婚式でよく提供されるコンソメスープは、お吸い物と同じく濃度がなく、保温力が弱いため冷めやすくなります。そのため、蓋付きのスープカップを使ったり、テーブルで注いだりと、温度を保つ工夫が行われます。

肉料理や魚料理でも、ソースが少ない料理やアンダーソースの料理は冷めやすくなります。濃度のあるソースやスープには保温力がありますが、量が少ない場合は十分な効果を得られません。ソースを多めにかけた料理は、温かい毛布をかけたような状態になり、食材の温度を保ちやすくなります。

アンダーソースの料理は、皿の上にソースを敷き、その上に肉や魚をのせる盛り付けです。この場合、食材の上にソースがかかっていないため、表面が直接空気に触れ、熱が奪われやすくなります。近年増えている、皿に絵を描くように少量のソースを添える盛り付けも、同様に冷めやすい料理に当てはまります。

このように、料理の仕上げ方やソースの性質によって、温かさの感じ方には大きな違いが生まれます。

結婚式で料理が冷めているのは普通なの?

結婚式で料理が冷めているのは普通なの?

結婚式の料理が少し冷めている状態は、残念ながら多くの披露宴で起こりうる「よくある現象」といえます。一般的なレストランとは異なり、結婚式場では数十人の料理を一斉に提供しなければなりません。

式場側も保温に努めていますが、式としての進行を優先する以上、家庭や飲食店のような「アツアツ」をすべてのゲストに届けるのは非常に難易度が高いのが実情です。

ゲストが「冷めている」と感じやすい心理的要因

ゲストが「冷めている」と感じやすい心理的要因

ゲストが料理を冷めていると感じる背景には、料理そのものの温度だけでなく、空腹感や待ち時間による「期待値の変化」が大きく影響しています。

披露宴が始まるまで、ゲストは受付や挙式で長い時間を過ごし、かなり空腹な状態で席につきます。人間は空腹であればあるほど、温かい食べ物に対して「心身を癒やしてくれるはずだ」という強い期待を抱くものです。

しかし、スピーチが長引いて食べるまでにおあずけを食らうと、脳は「待たされた分、より良い状態で食べたい」とハードルを上げてしまいます。この期待と現実のギャップが、わずかな温度低下を「冷めていて残念だ」というネガティブな感情に増幅させます。

冷めていても問題にならない料理と気になる料理の違い

冷めていても問題にならない料理と気になる料理の違い

料理の「脂分の多さ」と「とろみ」の有無によって、冷めたときに不快に感じるかどうかがはっきりと分かれます。

お肉料理やソースを多用するフランス料理は、冷めると脂分が白く固まり始め、口当たりが急激に悪くなります。脂は温度が下がると粘り気が出る性質があるため、ベタついた食感が「不快な冷たさ」として認識されます。

一方で、前菜や一部の魚料理のように、冷たくても味が成立するように設計されたメニューは、多少温度が下がってもゲストの満足度は低下しません。

結婚式の料理が冷めていると感じたときの受け止め方

結婚式の料理が冷めていると感じたときの受け止め方

結婚式の料理が冷めていると感じたときは、「最高のスパイスは新郎新婦の幸せな姿である」と捉え方を変えてみるのが一番の解決策です。

披露宴はレストランでの食事とは異なり、新郎新婦がゲストに感謝を伝え、ゲストが二人を祝福するための「儀式」の場になります。料理の温度は、その場にいる全員が共有している時間や空気感の一部であると理解することで、心のモヤモヤを解消できます。

ゲストとして知っておきたい結婚式の裏側

ゲストとして知っておきたい結婚式の裏側

厨房スタッフや配膳スタッフは、目に見えないところで「1秒でも早く温かい料理を届けること」に命を懸けて奮闘しています。

披露宴の裏側では、調理のタイミングを秒単位で調整するシェフと、会場の進行を管理するディレクターが激しく連携を取り合っています。しかし、スピーチが感動的で長引いたり、予定外のハプニングが起きたりすることは日常茶飯事です。

期待しすぎないための心構え

期待しすぎないための心構え

ゲストが「完璧な熱々のコース料理」を基準にすると、結婚式の料理は冷めた印象になりやすいです。ゲストが「進行と一緒に楽しむ料理」という基準に切り替えると、満足度が上がりやすくなります。

人間の満足度は、事前に抱いていた期待値と現実の差で決まります。結婚式の料理を高級レストランの「美食体験」と同じ基準で考えてしまうと、どうしても温度の不備が目についてしまいます。

しかし、結婚式の本質は、二人の門出を祝うという「体験」にあります。料理を「お祝いの席を彩る華やかな演出の一つ」として捉えれば、少々の温度低下は些細な出来事として流せるようになります。

結婚式の料理が冷めていると感じない式場の特徴

結婚式の料理が冷めていると感じない式場の特徴

料理を最高の状態で提供できる式場には、「設備」と「スタッフの連携」が高度に噛み合っているという特徴があります。

温かい料理を提供することを最優先に設計された会場では、厨房と客席の距離が物理的に近く、進行に合わせて柔軟に調理を調整できる体制が整っています。ゲストが温度に違和感を抱かないのは、式場側が徹底して「冷める原因」を排除しているからです。

提供スピードに配慮している会場の共通点

提供スピードに配慮している会場の共通点

料理の温度を保つ工夫をしている会場は、披露宴会場のすぐ隣に「専用の厨房」を併設しています。

大規模なホテルなどでは、一つの大きな厨房で複数の宴会の料理を作る場合があります。これに対して、温度にこだわる会場は、各会場ごとに独立した調理スペースを設けています。調理場からテーブルまでの距離が数メートルであれば、盛り付けから提供までのタイムラグを数秒単位に短縮できます。

さらに、温かい料理を乗せるお皿を事前に専用の機械で加熱しておくなど、細かな設備投資を惜しまない点も共通しています。

少人数婚やレストランウェディングのメリット

少人数婚やレストランウェディングのメリット

招待するゲストの人数が少ない会場ほど、一人ひとりの食べるペースに合わせた「きめ細やかな調理」が可能になります。少人数婚やレストランウェディングは、料理が冷めにくい条件がそろいやすいです。理由は「会場が小さい」「テーブル数が少ない」「料理が主役になりやすい」ためです。

少人数の披露宴は会場がコンパクトになりやすいです。厨房から遠い席が生まれにくいため、運搬時間が短くなります。テーブル数が少ないと、スタッフは一度に対応する範囲が狭くなります。皿下げと提供のズレも小さくなります。

レストランウェディングは、日常的にコース料理を提供する場所です。レストランは温かい料理を温かいまま出す仕組みを持っています。披露宴会場よりも「料理のテンポ」を優先しやすい点が強みです。

演出の量も関係します。少人数婚は演出を控えめにしやすいです。食べる時間が分断されにくいため、温かさのピークを逃しにくいです。

温かい料理を重視する会場選びの視点

温かい料理を重視する会場選びの視点

温かい料理を重視する場合、会場選びは試食の味だけで判断すると不十分です。会場を選ぶ際は、厨房の位置、配膳体制、披露宴の進行設計まで確認する必要があります。

試食会で提供される料理は、最も良い条件で出されることが多くあります。試食の満足度だけで決めてしまうと、本番当日の提供環境が見えにくくなります。

会場見学では、厨房と披露宴会場の距離を実際に確認すると、料理が運ばれる流れを具体的に想像できます。スタッフに質問をすると、配膳の仕組みや当日の動きも把握しやすくなります。

ゲスト数が多い予定の場合は、会場の広さと配膳口の数が重要です。配膳口が一つだけの会場では、厨房から遠い席ほど料理の提供が遅れやすくなります。

披露宴の進行が詰まりすぎると、ゲストは落ち着いて食事をする時間を失います。会場が料理の時間を確保する進行を提案できるかどうかも、会場選びの大切な判断材料になります。

結婚式のフランス料理がなぜ冷めやすいのか:まとめ

結婚式のフランス料理がなぜ冷めやすいのかおわかりになったでしょうか。

料理を作っている側もサービスする側ももちろん最善の努力をして少しでも温かい料理を届けようとしていますが、料理が冷めやすくなる要因は多々あります。

同じフランス料理でもレストランは温かいまま提供されます。

レストランの場合は少人数のお客様の対応がほとんどですし、調理をするところもホールに近いところにります。

結婚式のような大人数でのフランス料理のコース料理の提供はレストランと比べて難しいのです。

しかし、現在の比較的新しい結婚式場では今回説明した問題点を少なくする設計で建てられていて、以前に比べるとそういう問題は減ってきています。

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